「そろそろ将来の住まいを考えないと」――そんな思いで情報collecting を始めたとき、まず戸惑うのが「東京と地方、どちらで探すべきか」という問題ではないでしょうか。同じ「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」や「有料老人ホーム」でも、立地によって費用も選択肢の数もまったく違います。今回は、東京と地方都市の違い、そして知っておきたい行政の支援策について整理してみます。
1. 費用は東京がかなり高め
まず気になる費用面から見ていきましょう。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の場合、全国平均の入居時費用は約19.7万円ですが、東京都は約33万円と、13万円以上も高くなっています。月額費用についても、全国平均が17〜18万円程度なのに対し、東京都は21〜22万円台と、こちらも数万円高い水準です。
有料老人ホームになるとその差はさらに顕著です。全国平均の入居時費用が約680万円であるのに対し、東京都は約930万円と250万円もの開きがあります。月額費用も東京都は31万円台と、全国平均の27万円前後を大きく上回っています。
一方で地方都市では、同じグレードの施設でも家賃相場や人件費が抑えられる分、総額を数割安く抑えられるケースが多いのが実情です。「親の年金と貯蓄でどこまでまかなえるか」というシミュレーションをする際は、まずこの地域差を頭に入れておくことが大切です。
2. 施設数・選択肢の多さも大きな差
費用だけでなく、選べる施設の「数」も東京と地方では大きく異なります。東京都内だけでも有料老人ホームは1,000件を超え、サ高住も400件以上が登録されており、特に世田谷区のような人口の多いエリアには施設が集中する傾向があります。選択肢が多い分、立地・サービス内容・費用帯などで細かく比較検討できるのは東京の強みです。
その反面、人気エリアや人気施設は入居希望者が集中しやすく、希望条件に合う部屋がなかなか見つからない、という声も少なくありません。
地方都市では施設の絶対数は東京ほど多くありませんが、その分、待機者数も比較的落ち着いている地域が多く、「希望するエリアで比較的スムーズに空きが見つかる」というケースもあります。ただし、地域や施設の種類によって状況は大きく異なるため、実際に検討する際は自治体や地域包括支援センター、施設の入居相談窓口に直接問い合わせて最新の空き状況を確認することをおすすめします。
3. 「サ高住」という選択肢と登録制度
賃貸感覚で住み替えられる住まいとして近年人気なのが「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」です。これは、高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づき創設された登録制度で、国土交通省と厚生労働省が共管しています。
サ高住として登録されるには、床面積や設備、バリアフリー構造といったハード面の基準を満たすとともに、ケアの専門家による「安否確認サービス」と「生活相談サービス」を必ず提供することが義務づけられています。入居対象は原則60歳以上の方、または要介護・要支援認定を受けている60歳未満の方などです。
賃貸借契約が基本のため、分譲マンションのように大きな一時金を用意する必要がなく、ライフスタイルの変化に応じて住み替えやすいという特徴があります。将来的に介護度が上がった場合は、介護付き有料老人ホームへの住み替えを検討するご家庭も多いようです。
4. 知っておきたい行政の支援策
サ高住や高齢者向け住宅の整備には、国や自治体からさまざまな支援策が用意されています。入居者本人が直接使える制度というより、施設の供給を後押しする仕組みが中心ですが、結果として住まいの選択肢の広がりや家賃負担の軽減につながっています。
- 国による整備費補助:サ高住として登録される住宅の建設・改修費用について、国が民間事業者や社会福祉法人、医療法人などに直接補助を行う制度があります。新築・改修それぞれに補助上限額が設定されており、良質なサ高住としての要件を満たすこと、一定期間(10年以上など)登録を継続することなどが条件になります。
- 税制優遇・融資支援:サ高住に対しては、地方税の軽減措置や、住宅金融支援機構による融資支援なども用意されています。
- 自治体独自の上乗せ補助:東京都では、区市町村が行うサ高住整備事業に対して都が独自に補助を行う仕組みがあります。整備事業者への補助という形が中心ですが、こうした支援策があることで、地価の高い都心部でも一定の供給が維持されている側面があります。
- 地域包括ケアの枠組み:多くの自治体では、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、地域包括支援センターを窓口とした住まい探しの相談支援や、地域の医療・介護サービスとの連携体制づくりを進めています。住まい探しに迷ったときは、まずお住まいの自治体の高齢福祉担当窓口や地域包括支援センターに相談してみるとよいでしょう。
こうした支援策は自治体によって内容や条件が異なるため、「〇〇市 サービス付き高齢者向け住宅 補助」といった形で、実際に検討している地域の公式サイトを確認することをおすすめします。
5. 東京と地方、どちらで探すべきか
「どちらが正解」という単純な話ではありませんが、判断の軸として次のような視点が参考になります。
- 家族との距離を優先するなら:子や孫が近くに住む地域を選ぶことで、面会のしやすさや緊急時の対応がスムーズになります。
- 費用を抑えたいなら:同じサービス水準でも地方都市の方が総額を抑えられる傾向があります。
- 医療・商業施設へのアクセスを重視するなら:東京をはじめとする都市部は選択肢の多さと利便性が魅力です。
- 地元に愛着があるなら:住み慣れた土地を離れないという選択も、精神的な安定という意味で大切な要素です。
まとめ
シニアの住まい探しは、費用・選択肢の数・行政支援の有無など、地域によって条件が大きく変わってきます。東京は選択肢が豊富な反面、費用が高くなりがちで、地方都市は費用を抑えやすい一方、地域ごとに施設数や支援制度に差があります。まずはお住まいの、あるいは検討しているエリアの自治体窓口や地域包括支援センターに相談し、最新の制度や空き状況を確認することから始めてみてください。
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