企業が今から準備すべきこと10項目
1. 自社が今後も受入れ可能な分野・職種かを確認する
育成就労は、受入れ対象分野が特定技能の産業分野と原則一致する方向です。これまで技能実習で受け入れていた業務でも、そのまま移行できるとは限らないため、まずは自社業務が新制度の対象に入るかを確認する必要があります。
2. 「育成する会社」としての社内体制を整える
新制度は、単なる労働力確保ではなく、3年間で特定技能1号水準の人材育成を目指す制度です。現場任せにせず、誰が教育するか、どう教えるか、どこまで到達させるかを社内で決めておくことが重要です。
3. 育成就労計画を作れる準備を始める
受入れには育成就労計画の認定が必要で、業務内容、技能目標、日本語能力、支援体制、費用関係などを明確にすることが求められます。制度開始直前に慌てないよう、今のうちから「何を記載する必要があるか」を整理しておくべきです。
4. 日本語支援の仕組みを作る
育成就労では、日本語能力も重要な要素になります。仕事の指示、安全教育、生活案内が伝わらないと、事故や離職の原因になります。入社後任せではなく、入社前説明、現場用語一覧、やさしい日本語、多言語資料などの準備が必要です。
5. 転籍されにくい職場環境を整える
新制度では、一定要件の下で本人意向による転籍が認められます。そのため、今後は「採ったら固定」ではなく、選ばれ続ける会社かどうかが問われます。賃金、相談体制、人間関係、住環境、休日取得などを見直し、定着重視の運営に変える必要があります。
6. 住居・生活支援を“会社の実務”として設計する
制度の趣旨は、地域で安定して就労・生活できる人材育成です。住まいの確保だけでなく、ゴミ出し、騒音、買物、病院、交通、Wi-Fi、緊急時連絡など、生活面の支援を仕組みにしないと、職場外の不満が離職やトラブルにつながります。厚労省の定着マニュアルでも、受入れ前準備と就業環境整備の重要性が示されています。
7. 監理団体・支援機関との付き合い方を見直す
監理団体は今後、監理支援機関へ移行し、要件も厳格化されます。また、特定技能1号の支援を外部委託する場合は、登録支援機関への委託が前提になります。今の提携先が新制度でも十分対応できるのか、実務レベルで見極めることが必要です。
8. 費用の流れを見える化する
制度では、送出機関に支払った費用なども認定の中で確認対象になります。採用費、渡航費、住居初期費用、生活備品、通訳費、日本語教育費などを曖昧にしていると、後で説明しづらくなります。企業負担と本人負担を明確にし、書面化しておくことが大切です。
9. 労務・法令順守の点検を今のうちに行う
受入れ機関には、労働・社会保険・租税関係法令の順守が強く求められます。加えて、不法就労助長罪の罰則も強化されています。残業管理、賃金台帳、社会保険加入、在留資格の確認、従事業務の適法性など、基本的な労務管理を早めに総点検しておくべきです。
10. 「採用」ではなく「定着」までをKPIにする
これからは、人数を入れることより、3年育てて定着・移行させることが重要になります。採用数、定着率、転籍率、日本語習得状況、生活トラブル件数、相談対応件数などを社内で管理し、制度対応を経営課題として扱う必要があります。
育成就労制度は、受入れ企業に“育てる責任”をより明確に求める制度です。
実務上の核心
一番大事なのは、
「外国人材を採る準備」ではなく、「3年間育てて、安心して働き続けてもらう準備」に発想を変えることです。
新制度は、技能実習時代のような「まず受け入れてから考える」運用では厳しくなりやすいです。


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