初めての寮作りは、まるで迷路に迷い込んだような感覚でした。何を準備すればいいのか、何から手をつければいいのか全く分からず、手探りで進めました。ベッド、机、椅子、共用スペースには電子ジャーやキッチン用品、掃除機に大型テレビ、洗濯機など、必要なものが山ほどありました。
それでも、何もかもが初めての経験。正直、途方に暮れる瞬間も少なくなかったです。
そんな中、日本語学校から「一棟まるごと借りたい」という依頼がありました。とても嬉しい反面、不安も大きかったです。学生たちを預かるというのは、ただの部屋貸しとは違い、責任が一段と重くなるからです。
結局、4階を男子学生寮(12名)、5階には事務所、キッチン、リビング、シャワールーム、そして個室1部屋を設置。6階を女子学生寮(14名)にし、合計28名の学生を受け入れることに決めました。最初の3ヶ月間は、韓国からの学生で満室となり、その後、7割が中国の学生に入れ替わりました。
この変化が驚きの始まりでした。
2007年9月、中国からの学生たちが寮にやってきました。彼らは皆、明るく前向きで、とても好印象でした。しかし、寮内の様子は一変しました。キッチンや共有スペースは油まみれで、掃除をする意識があまり感じられなかったのです。驚いたことに、3年間、中国の学生がテーブルを拭いている姿を一度も見たことがありませんでした。
ところがある日、そんな私の目の前で一人の学生がテーブルを拭いていたのです。驚きました!その学生は四川省成都出身で、今でも連絡を取っています。
彼女の結婚式にも招待されましたが、残念ながらマレーシアでの式だったため、参加できませんでした。
今では立派なお母さんになっています。
寮生活の中で特に印象的だったのが、水漏れ事件。これには本当に悩まされました。30〜40回は水漏れが発生したでしょうか。笑えるほどの頻度です。中国では配管が直結していて、何でも流してしまう文化があるようですが、それが原因で日本の配管はすぐに詰まってしまうのです。そのおかげで、私は詰まり修理の名人になりました(笑)。
しかし、ここ6〜7年の間に、中国からの学生たちもとても清潔になり、あの頃とは全く違う印象を持っています。今の学生たちは本当にきれい好きです。
その後、さらに2〜3年が経ち、今度はベトナムからの学生が半数近く入寮してきました。驚くことに、この時点では、寮生はすべて女性でした。彼女たちは勉強熱心で、アルバイトにも一生懸命取り組んでいました。
よく「留学生は色々な恩恵を受けている」と言われることがありますが、それは完全に誤解です
国費留学生という制度は確かにありますが、それは全体のわずか3.6%程度です。残りの96.4%の学生たちは、自費で生活し、アルバイトをしながら学費を稼いでいるのです。この現実は、もっと知られるべきだと思います。中にはヤマトの仕分けのアルバイトを徹夜でしてそのまま学校へ行く学生も数人いました。
詳しい情報はこちらをご覧ください: https://cocosumutokyo.com/857/
寮生活での試行錯誤があったからこそ、今の私があります。
そして、学生たちとの出会いと経験が、私の人生にとってかけがえのない財産になりました。
コメント