移民政策は今回審議の欠如

【老害からの老賢】
特定技能制度の概要と対象分野の拡大

日本では、深刻化する人手不足への対策として、特定技能制度が導入されています。この制度は、特定産業分野における外国人の就労を認めるもので、人材確保が急務とされる分野を中心に適用されています。2023年には新たに4分野が追加され、対象は以下の16分野となりました:

  1. 介護: 身体介護や生活支援を伴う業務
  2. ビルクリーニング: 建築物内部の清掃
  3. 工業製品製造業: 機械金属加工、電気電子機器組立て、縫製、印刷・製本など
  4. 建設: 土木、建築、ライフライン整備
  5. 造船・舶用工業: 造船、舶用機械、電気電子機器の製造・整備
  6. 自動車整備: 自動車の点検整備業務
  7. 航空: 空港グランドハンドリング、航空機整備
  8. 宿泊: 旅館やホテルでのフロント業務や接客業務
  9. 農業: 耕種農業、畜産農業
  10. 漁業: 漁業、養殖業
  11. 飲食料品製造業: 飲食料品(酒類を除く)の製造・加工
  12. 外食業: 飲食物の調理、接客、店舗管理

    追加業務

  13. 自動車運送業: バス、タクシー、トラック運転者
  14. 鉄道: 運転士、車掌、軌道整備など
  15. 林業: 育林、素材生産、種苗育成
  16. 新規分野: 各種新規職業(政府が必要と判断した分野)

政策決定の手順と課題

これらの分野への移民受け入れの決定は、政府の「閣議決定」によるものです。しかし、この決定手順にはいくつかの課題と矛盾点が存在します。特に以下の点が指摘されています:

1. 国会審議の欠如

特定技能制度の拡大は、わずか数名の閣僚による「閣議決定」で行われました。通常、国の根幹に関わる政策は、国会で十分な議論を経て決定されるべきですが、今回はそのプロセスを経ていません。このような手続きは、国民の意見が十分に反映されていない可能性を孕んでいます。

2. 透明性の欠如

閣議決定は、短期間で密室的に行われることが多く、具体的な議論内容や背景が不透明です。特定技能制度の対象分野がどのように選定されたのか、追加された分野の選定基準がどのように設定されたのか、国民にはほとんど知らされていません。

3. 現場の声が反映されていない

対象分野は広範囲にわたりますが、各分野の現場からの具体的なニーズや課題が政策にどの程度反映されたのかが不明です。例えば、農業や介護分野では外国人労働者の受け入れ体制が整っていないとの指摘もあり、受け入れ後のフォローアップが不十分な可能性があります。


閣議決定の矛盾点

  • 政策の急ぎすぎ
    人材不足への対応が急務であることは理解できるものの、短期間での決定は社会的な影響を十分に考慮したものではありません。
  • 国会軽視のリスク
    閣議決定だけで政策を進めることは、国会でのチェック機能を形骸化させる恐れがあります。これは、民主主義の根幹を揺るがす行為とも言えます。
  • 企業献金との関連
    企業の意見を取り入れすぎること、今問題になっている企業献金ですね

改善に向けた提案

  1. 政策決定プロセスの見直し
    特定技能制度に関する重要な政策は、国会での審議を通じて決定する仕組みに戻すべきです。国民の声を代弁する場としての国会の役割が不可欠です。
  2. 透明性と情報公開の強化
    閣議決定の議事録や背景資料を国民に公開し、政策決定の透明性を高めるべきです。
  3. 現場の意見を反映した制度設計
    受け入れ先の企業や自治体、さらには現場で働く外国人労働者の意見を政策に反映する仕組みを整えることが必要です。

私の思うところ

特定技能制度は、急速に変化する日本社会にとって必要な政策ではありますが、その決定プロセスには改善の余地があります。十分な議論と透明性を持たせることで、国民全体が納得できる形の移民政策を実現することが求められています。

 

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